ふたりは、誰から見ても正統派の好青年と清らかな女性。整った笑顔、落ち着いた物腰、礼儀正しい振る舞い。まるで純文学の主人公のような、品と奥ゆかしさを併せ持つ存在です。
しかし、この一冊に収められているのは、ただの微笑ましい日常ではありません。
部屋の中で向かい合い、時に視線を外し、時にじっと見つめ合うふたり。その空気には、言葉にならない温度と、抑えきれない心の揺らぎが漂っています。

彼らはもともと「許されざる立場」にありました。第三者の存在、越えてはいけない線、心の奥で何度も繰り返した理性との対話。それでも、ふたりは同じ空間にいることを選びました。
写真には、何気ない仕草の中に潜むためらいと、そして確かな決意が刻まれています。
窓から差し込むやわらかな光が、彼女の横顔を静かに照らし、影の中にいる彼を浮かび上がらせる。指先が触れる、その直前の一瞬に凝縮された緊張感。

「寝取り」という言葉が示すのは、ただ関係性の変化だけではありません。それは、ふたりが背負う罪悪感と、手放せない温もりの両方を抱きしめるという選択。
写真をめくるたび、そこには小さな物音や呼吸までも感じ取れるような、密度の濃い時間が広がります。笑顔は少なく、しかしその分、目と目で語られる物語が鮮やかに浮かび上がります。

この作品は、刺激的な表現や直接的な描写ではなく、視線、距離、沈黙、そして微かな表情の変化によって感情を紡ぎます。観る者はいつの間にか、その場の空気に引き込まれ、彼らの心の奥底に潜む葛藤を追体験することになるでしょう。
一枚一枚の写真には、表向きの清純さと、裏に隠された揺らぎが同居しています。それは、完全に無垢なわけでも、完全に堕ちきったわけでもない、曖昧で美しい瞬間。

もしあなたが、人の心の複雑さや関係性の危うさに魅力を感じるなら、この写真集はきっと深く響くはずです。静かな部屋の中で交わされる、たったふたりの物語。そこには、愛と罪、純粋さと背徳が、決して混ざりきらないまま同じフレームに収まっています。
見る者の心を揺らし、そして問いかける――「あなたなら、この瞬間をどう受け止めますか？」

FANZA